暮らすように旅する自炊旅の食卓

JOURNEY COOKING

シェムリアップのローカル市場と 現地のお母さんに習う カンボジア料理教室 / Siem Reap 

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料理教室で作った鶏粥と緑豆ぜんざい

70代、シニアの母と旅するカンボジア。滞在4日目(現地最終日)午前中は、クメール料理教室に参加しました。
旅の計画中にFacebookで偶然見つけたカンボジアノゴハンは、地元のマーケットで食材を調達し、その後、現地に暮らすカンボジアファミリーのお宅を訪ね、お母さんから家庭料理を教わるという訪問型の料理教室。
滞在したホテルのアクティビティーにも、レストランシェフに習うクメールキュイジーヌの cooking lesson がありましたが、その手の料理教室とは一線を画し、ローカル度満点!
現地の人々の暮らしぶりを知る絶好の機会となりました。

 

シェムリアップのローカル市場 Phnm Trang Market

午前8時半。滞在しているホテルに料理教室の主催者兼ガイドのとよみさんが迎えに来てくれました。今回の参加者は母と私の二人だけのプライベートレッスン。まずはとよみさんの運転する車に乗り、近くのローカル市場を訪れます。

案内されたのは、シェムリアップ川沿いのこじんまりした市場、Phnm Trang Market。市場の周りには、歩道に沿って露天のお店も出ていました。

市場の向かいの歩道に並ぶ露天。地面に敷いた紙の上に、野菜や果物を陳列

左:ワッフル屋。右上:焼きバナナ屋。右下:フルーツ色々

ワッフルや焼きバナナ、ちまき風お菓子やカットフルーツなど、その場ですぐに食べれる屋台が色々ありましたが、ハエがとまっていたりで、購入するのは抵抗がなくも無い。笑

平常心の青果と緊張感いっぱいの肉&魚

さて、市場の中に入りましょう。入口付近にもカットフルーツやスイーツ、イートインのコーナーがありました。

左:渦巻状にカットされたパイナップル。右側はドリアン。中:スイーツ色々。右:イートインコーナー

中は活気があって賑わっていました。八百屋が多く感じましたが、肉や魚、漬物など、ありとあらゆる生鮮食品のお店がぎっしり。

ハーブなど葉もの野菜の種類も豊富

漬物屋さん

見慣れない野菜や食べ物などが多々並べられていて、興味津々。とよみさんが食材や市場での買い物の仕方など、色々と説明してくれます。
野菜系の店舗は全く抵抗感なく、「これ、何だろう?」と、しげしげ眺めていられるのですが、肉と魚のお店はかなりなグロテスク度。陳列台の上にそのまま生肉&生魚が山盛りになっており、近づくのが若干、躊躇われます。

肉や魚の店主が、商品台の上に胡座をかいて座り込み、その場で肉や魚をさばいて並べていくのですが、その様子が生々し過ぎて、凝視し難し。「さばく」と言うよりは、中華包丁のような大きな包丁で、「ぶった切ってる」という表現の方がしっくりきますかね。肉片がこちらに飛んで来るのを恐れて近寄れず、遠巻きでパシャパシャと撮影。大変、興味深かったです。

どこへ旅しても、なるべく地元の市場には足を運ぶようにしているので、東南アジアのローカル市場の衛生面や混沌さなどには、ある程度、免疫があると思っていましたが、まだまだでしたねー。最も母の方が、更に腰が引けてたじろいでおりましたが。笑

丸鶏をさばいてもらっているところ

とよみさんは、野菜を数種類と豚の塊肉、丸鶏をお買い上げ。丸鶏はその場で内臓などを取り除くよう、お願いしていました。勿論、もつの部分もちゃんと袋に入れてもらってましたね。

お土産に液体パームシュガー

生鮮食品を調達後は、乾物や調味料を扱うお店へ。とよみさんは料理教室で使う干し海老やスルメなどを入手していました。そして私もここで、とよみさんおすすめの食材、液体パームシュガーを自宅用に買うことに。ヤシから採取されるパームシュガーは、東南アジア全域でよく使われ、カンボジアでも名産品。持ち帰りにはキャンディーのように固められた固形タイプが便利ですが、料理に使いやすいのは、断然、液体状のものだそう。

ということで、まずは持ち帰るための容器を買いに、プラショップへ。

市場の外、道路に面した側に構えるプラ容器のお店

とよみさんがお土産用によく調達するという、直径7.5cm×高さ10cmサイズの蓋付き容器を2つ購入。値段は忘れてしまったのですが、多分、2つで50円しない位だったと思います。
この容器を持って、市場の中にある食材屋へ行き、パームシュガーを詰めてもらいます。

左:パームシュガーを買ったお店。中上:バケツに入った液体パームシュガー。中下:持ち帰った状態。
右:パームシュガーを注いでいるところ

店員さん、まずは購入したプラ容器にビニール袋をセットし、バケツに入ったシュガーをカップですくって容器の中の袋へ注ぎ、満タンになったビニール袋を輪ゴムでグリグリしばってくれました。そして最後に、容器の蓋を締めて完了。
自宅まで漏れないか不安だったので、スーツケースにしまう際は、日本から持参していたジップバックとスーパーのビニール袋にプラ容器を入れて二重にし、完全防御しておいたので大丈夫でした。液体とはいえ、蜂蜜以上に粘度があるので、二重にしておけば漏れることはまずないと思います。

他にもタピオカやきくらげ、干し椎茸などの小袋(上記写真左、上から吊り下がっているビニールの小袋)も一緒に購入したのですが、値段は確か全部で200〜300円くらいだったような。。。
通訳してくれる、とよみさんに言われるがまま支払ったので、自分の頭の中で、ちゃんと換算しない(というか、計算が間に合わない)のが、ガイドさんがいる時の私の悪い癖です。
いずれにしても、「え?そんな安いの?」と思った記憶があるので、そこがやはり市場での買い物の魅力ですかね。
カンボジアのお土産については、別途、書く予定です。

帰国後に使ってみたパームシュガーの感想ですが、黒糖のような独特な強い風味はないけれど、コクがあってまろやかな甘みで、エスニック系の料理だけでなく、和風の煮物などにもよく合うと思いました。
そして肝心の「液体の状態が料理で使いやすいか?」という点については、固形・液体・粉末を使い比べた訳ではないので、なんとも判断が難しい。家ではいつも粉末のてんさい糖を使っているので、液体の手に入れにくさを考えると、スーパーなどでも買える粉末でも充分なのかな?とも思います。
ただ今回は、個人で行くのがちょいとハードルの高いローカル市場を案内してもらったので、購入して大正解でした。

Phnm Trang Market の地図

Phnm Trang Market への行き方はこちら。
国道6号線より北に位置する国立博物館の近くで、アンコールワットに至る道からシェムリアップ川の方へ少し入った辺りにあります。

シェムリアップの中心街からも近いので、見学だけならトゥクトゥクに乗って個人で訪れるのも面白いと思います。ただ、英語が通じなさそうな雰囲気だったので、あれこれ購入するとなると、現地の言葉が話せないと、ちょっと大変かもしれません。

 

カンボジア料理教室

さて、市場で小一時間ほど過ごし、この日教わるカンボジアファミリー、Cお母さんのお宅へ向かいます。
高い塀に囲まれた門をくぐると、目前にたわわに実るドリアンの木がお出迎え。南国を感じます。

突き当たりが家のドアで、その手前右手にキッチンの流台やコンロ。一番手前は食卓

カンボジアでは、キッチンは家の外にあるのが一般的だそうで(確か、火のもとの関係だと伺った記憶)、こちらCさん宅のキッチンも、家と庭の境の土間のような空間に、屋根付きのキッチンが備わっていました。

機能的にまとめられたキッチン

Cさんに挨拶をして、とよみさんが用意してくれていたクロマー(多用途のカンボジア大判スカーフ)をエプロン代わりに腰に巻き、手を洗ってレッスン開始です。

この日のメニューは、丸鶏のお粥(ボボーサイッモアン)と、緑豆のココナッツぜんざい(ボボーソンダエキウ)。
事前に「料理のリクエストはありますか?」と聞かれていましたが、「特にないのでお任せで、代表的な家庭料理が良いです。」と、お願いしておきました。ボボー(お粥)は、カンボジアの国民食とも言えるほど、家庭でよく食べられているそうです。

鶏粥

まずは先ほど市場で購入した丸鶏の下処理を私が担当。足を落として中まで綺麗に洗い、大きな鍋にたっぷりのお湯を沸かして、鶏を茹でます。その間に母は、大量の大蒜をみじん切りにし、中華鍋で香り良く色付くまで炒めていました。

大蒜を炒めている母

同じく市場で入手した干し海老・スルメ・たくわんは水に浸けて戻し、豚の塊肉と戻した乾物類、炒めたお米も鶏の鍋へ投入。同時にお粥のトッピングの用意。青ねぎやパクチーはみじん切り、粒胡椒は石鉢で叩いて粉状にし、ライムは房に沿って切り分ける、ちょっと変わった切り方でした。

左:鶏の鍋に乾物や米を加えているCさん。右上:お粥のトッピング

Cさん宅では、カセットコンロも使っていましたが、主な煮炊きは炭火を使用していました。炭火というだけで、確実に美味しいものが出来上がる予感!

緑豆ぜんざい

丸鶏を煮ている間に、緑豆ぜんざいの下ごしらえ。まずはココナッツミルクを搾ります。
ココナッツミルクも、お出汁のように、1番ミルク・2番ミルクがあるそうで、一番初めに水を注いで軽めに絞ったミルクは濃ゆいため、今回は次にムギューッと硬く絞った、2番ミルクを使用するとのこと。

左:緑豆ココナッツぜんざいの材料。手前の白いのが削ったココナッツ。中:1番ミルクを絞る母。
右:2番ミルク

鍋に入れた2番ココナッツミルクを煮立たせ、予め水に浸けて茹でた緑豆を加えて、砂糖で味付けし、好みでタピオカなどを追加し、煮ていきます。

Cさんも砂糖は液体のパームシュガーを使ってましたよ(上の写真右上)。

パイナップルの飾り切り

おぜんざいと並行して、螺旋状に切り込みを入れた、パイナップルの飾り切りも教わりました。

市場に並んでいた、このカット方法を教わる

飾り切りに挑戦中の母。勿論、私も切ってみました

全体の皮を削いだパイナップル、窪んで均一に少し皮が残ってしまう部分を、斜め一直線状にV字に切り落としていくと、市場で売られている渦巻き形状に仕上がります。家で食べる分は、そこから更に縦、もしくは横に食べやすくカットしました。華やかで見栄えするのですが、正直、やや辛気臭い作業でもありましたねー。笑 
とはいえ、カンボジアのパイナップルは、酸味が穏やかで甘く、とっても美味しかったです。

鶏粥 仕上げ

さて、丸鶏と豚肉が煮えたようなので、肉類を鍋から取り出し、最後にお粥の味付けです。

鍋の様子をチェックする母

取り出した丸鶏はCさんがざっくりと切り分け、骨のない部分(胸の辺り?)を、お粥のトッピング用に手で裂くよう指示されたのですが、炭火でぐつぐつ煮込まれた肉は、しばらく放置して粗熱をとっていたにも関わらず、ものすごく熱い!!

左:お椀に調味料を合わせ、お鍋の中へ。右:豚肉をカットするCさん

調味料はナンプラーとパームシュガーと塩。鍋に加えて味付けをし、少々煮込んで完成。
ここまでトータルの調理時間はざっと1時間半ほどでしょうか。その他、もやしを茹でたり、スープを作ったり、細かなことはCさんが横でチャチャッと済ませてくれていて、お待ちかねの試食タイムです。

 

カンボジアファミリーとのランチタイム

ちょうど昼食が出来上がった頃、Cさんのご主人、Wさんがご帰宅。カンボジアでは、自宅に昼ごはんを食べに帰るのが主流のようで、Wさんも毎日、お昼は家で食べているのだそう。そこへ家に居た小学生のお嬢さんも加わり、賑やかなランチタイムとなりました。

日本人の口に合う家庭料理、ボボー(お粥)

食卓の丸テーブル上には、出来上がった料理と事前に用意されていたフルーツやスイーツが、のせきれないくらい満杯!

まずは鶏粥から。トッピングは遠慮せずに?全部のせ。笑 
台湾料理でもお馴染みの油条(棒状の揚げパン)は、そういえば、とよみさんが市場で買っていたような。アヂアヂを手で裂いた鶏肉は勿論、母がせっせと炒めていた大量の大蒜は、香ばしさが優ってるからか?、それとも種類が若干異なるのか?、なぜか匂いがあまり気にならず不思議でした。
印象的だったのは、カンボジアの納豆。粘り気が全くない!のに、見た目も味も、まんま納豆!面白いもんです。お粥自体は、骨付き肉と乾物の出汁が効いた優しい滋味深い味わいで、しみじみと美味しい。その他、丸鶏のガラを使い、きのこなどの野菜を煮たスープも頂きました。

緑豆ぜんざいは、出来上がって粗熱が取れたほんのり温かい状態でした。ココナッツの風味がエスニック感あり、甘さ控えめでとても好みの味。日本の小豆のおぜんざいとはまた全然違いますね。小粒の緑豆とモチモチタピオカの食感もgoodでした。冷たく冷やしても美味しいでしょう。

カンボジア料理は全般的にマイルドで、他の東南アジア諸国のように、香草たっぷりだったり、辛さマックスという独特な感じはなく、食べやすいですね。

現地ファミリーの日常生活

ご主人Wさんと奥さん(お母さん)Cさん、共に彫りの深い美男美女のご夫婦なのですが、お嬢さんもこれまた美形でとっても cute な女の子でした。丸テーブルを囲み、食事を共にしながら、現地の日常生活について伺ってみます。

ご夫婦には他にも、10代の息子さんが2人いるとのことで、とよみさんの通訳と私の拙い英語で、Wさんのお仕事のことや、カンボジアの子育てや学校を含めた教育事情など、私たちの質問に気さくに応じてくれ、感じが良かったです。なのに、色々伺った話を書き留めておかず、すっかり忘れてしまうという・・・。泣

記憶に残る、学校に関する話題の一つに、カンボジアの小学校は午前組と午後組に分かれていて、この日のお嬢さんは午後から授業とのことで、昼食後、仕事に戻りがてらのご主人が、バイクに二人乗りで学校へ送って行ってましたね。
子供の人数に対して、教室や先生などの数が足りていないので、授業が半日ずつになってしまうと聞いたように思います。なので、余裕のある家庭では、空き時間は語学や習い事などに通わせているのだとか。Cさんのお嬢さんも、何かしら習い事をしているとおっしゃってましたね。子供の教育に出費を惜しまない傾向は、どこの国も同じなんですね。

さて、シェムリアップの現地事情を聞きながら、美味しいローカルフードをお腹いっぱい頂き、レッスンはお開き。なかなか体験できない、有意義な時間となりました。
Cさんにお礼を言ってお宅を後にし、とよみさんにホテルまで送って頂き、全ての行程が終了です。ホテルに戻ってきたのは、12時半ごろでした。

 

最後に

今回、料理教室のお土産に、エプロンとして使用したクロマーを頂きました。私は緑(下記写真左)で、母は赤のチェック柄。どちらも可愛いくて、とっても気に入りました。

そして帰国後には、とよみさんからレシピのpdfファイルと、調理の様子を撮った写真が数枚、Facebookのメッセージで届き(上記写真右)、アフターフォローも充実していて、満足度が高かったです。

こちらの体験の一番の利点は、なんと言っても、在住歴の長いとよみさんから、日本語でレッスンが受けれる点でしょう。
英語のアクティビティの場合、私の拙い英語力では意味不明点が多々あり、毎度、怪しい自己流解釈で済まさざるを得ないのですが、今回は理解度100パーセント!それに、母も一緒だったので、日本語で受講できるということが決め手になりました。
ですので、子連れ参加もとてもお勧めできますね。子供好みのクメール料理をリクエストすることも可能だと思います。私個人的には、ローカル市場に子供を連れて行きたいですね。

2020年8月現在、カンボジアノゴハンでは、私たちが受講した際(二人で$70)と、若干、料金体系が変わっているようでしたが、コロナ禍で海外を行き来する見通しがまだ全く立たない状況を踏まえてか、Zoomのオンライン料理教室など、新たなレッスンが加わっていました。
Facebookでも、カンボジアの日常や食についての情報を積極的に発信されており、興味深い内容が多く、私も毎度楽しみに拝見しています。
カンボジアに興味のある方は、フォローされると良いですよ。

カンボジアノゴハン

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